元旦

 鳥は毎朝、夜明けを喜ぶ。それなのに人間は、年明けの初日の出ばかりをありがたがる。元旦の電車に揺られながら相方がそう言った。
「人間はコミカルな生きものやね」
とぼくは言う。香川に家探しに来た夏の終わり、丸亀のキャンプ場で寒さに震えながら夜を越した朝の喜びに満ちた草木を思い出した。
「今頃、テレビではいろんな場所の御来光を映してるんやろね」
相方はそう続けた。
 窓から差し込む眩しいほどの光を全身に受ける。それがほの暖かい。こんな光を出せるテレビが登場したら歓声が上がることだろうと想像した。
 ありがたいものは既に数えきれないくらい、自然が当たり前のように用意してくれている。それをもっと深く味わえる一年にしたい。