遅い冬支度

 気持ちが晴れないと、曇りの日でも外に出掛けたくなる。しかし、歯がわるくて砂糖や珈琲を控えていて、行きたいカフェも思い付かない。パソコンで調べてみると何軒が行ってみたい店が見つかったが、もう外が薄暗くなってきて、そのためだけに出掛ける気にはなれず、結局家に居ることにした。
 縁側のガラス戸の隙き間を塞ぎたいと思いつつ、もう数週間が過ぎた。これをやってしまえば家で過ごしやすくなるし、一つ仕事を終えて気分もよくなるだろうと思い、重い腰を上げた。
 引っ越しのときに使ったプチプチ(エアクッションとも言うらしい)を相方がまとめて段ボール箱に詰めてくれていた。それを押し入れの上から三箱降ろしてきて、なるべく大きいものを選んでガラス戸の全面に養生テープで貼り合わせた。
 戸と柱の間に隙き間ができないように、上から下までテープを貼った。下は長めに切って、床に垂らしておいた。そのようにして床と戸の間から入ってくる冷気を防ぐ商品を見たことがあり、それがヒントになった。
 先日、イオンのフードコートに居たとき、手前の国道から遠くの山まで見渡せる大きなガラス窓のブラインドを店の人が上げ、その途端に店内が寒くなった。ガラスを伝わる冷気は無視できないことを知った。
 隙き間を全部テープで閉じてしまうと戸が開けられなくなるので、換気のときに戸を動かすところだけ、プチプチを大きめに切り、テープで固定せずに上から覆い被さるようにした。
 体を動かしているうちに気分が晴れてきた。座って文字ばかり見ている仕事ばかりしていると、神経が過敏になって心が疲れてくる。寒くても思い切って体を動かさなければいけないと思った。
「かなり塞いだから、火鉢を使うときはもっと頻繁に窓を開けたほうがいいかもね」
 作業を終えてから相方にそう言った。相方はこの間、大根の葉を鍋で炒め、それから夕食のお鍋の用意をしてくれていた。
 相方と長火鉢を囲み、熱いルイボスティを飲みながらおかきをつまんだ。それだけでは足らず、綾川の山の方で暮らす友人からいただいた柿を取りに行った。赤みがかったオレンジ色が濃く、もりもりと太った柿だった。包丁で四等分しても、柿というよりも大きなおにぎりを頬張るような感じだった。自然で優しい甘みだった。